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l 豚の頭三個を神に供えてタイマツの先端にさす

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m 大タイマツが点火された後、ペイ族の女性や子供が持った小タイマツに点火し、各々家に持ち帰り、家内の悪霊悪疫払いを行う

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n 赤々と燃えさかる大タイマツ(撮影=楊偉林)

 

んで行け!」と叫ぶ。この叫ぶ声の言葉尻りに「楚」という音が入るが、これはペイ語で、巫師が厄払いする時の専用語で、その意味は、「あっちへ行け」というものである。タイマツによる厄払いは、まず家の中から始め、それから家の外、また家の周りで行い、さらに集落人口の道路まで出て行う。またある者は自分の田圃のほとりまで行ってタイマツの火の粉を散ずる。子供たちがタイマツの火の粉を撒き散らしている時に人に遇ったりするとその人の身体にふりかけてやる。そうすると、伝染病からのがれ、一年中無病息災に過ごせるのだという。この日各家々では黄豆や蚕豆を煎って家内中の者に分け与えるが、これを「鬼の頭を食べる」と称していて、こうすることによって人々は災いをもたらす野鬼を食べ尽くし、一年間平穏無事に募らせるのだと信じている。ペイ族のタイマツ祭りのこの習俗や、漢代の中原の「童子がタイマツを手にして部尾の中を捜しまわって悪疫を追い払う」という追儺の習俗と一致しており、これが今なおペイ族に現存している追儺習俗である。かつて我々はペイ族のタイマツ祭りを語る時、この行事の起源伝説などに関することだけを探索していて、その中に包含されている他の文化的要素を見逃していたのである。
ペイ族に追儺があるのかないのか、この問題は一部研究者の論述の中では否定的態度が

 

 

 

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